現場作業におけるチームマネジメントの要因について(2)
〜チームの目的によるチームマネジメント要因の違い〜

○中村肇(三菱総合研究所)、小島三弘(電力中央研究所)、森田一寿(産能大学大学院)

産業・組織心理学会第12回大会(1996年9月、高崎経済大学)で発表した、標記の研究の概要(発表論文集に掲載したものからさらに要約)です。

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T.目的
電力事業における現場作業には、「緻密でミスのないよう」に作業を行うことを求められるものが多い。しかしながら、チームの目的とチームマネジメントの要因との関連は、これまで明らかにされてはいない。
そこで本研究は、現場作業におけるチームマネジメントの要因について、特に「チームの目的によって重要なチームマネジメント要因はどのように異なるか」について検討し、もって人的資源の活用に関して新たな知見を得ることを目的として実施した。

U.方法
「現在の状況」に加え、電力事業の現場作業の特徴である「緻密でミスのないようにしたい時」、及びその対照要因としての「特に大きな成果を得たい時」の3つの状況について、136個のチームマネジメント(TM)要因の重要度を4段階評定する調査票を作成し、上場企業を中心に1,000社に配布した。各社に対し現場リーダー用3票を送付し郵送回収した。今回は、有効回答を得られた328票について、分析を行った。

V.結果
1.個々のTM要因について
(1)各状況において最も重視されるTM要因・・・略
(2)3つの状況の間の比較・・・略
2.TM要因の因子について
(1)TM要因の因子分析結果・・・略
(2)因子構造の把握・・・略
(3)作業別の因子得点・・・略

W.考察
それぞれの目的別状況において、例えば次のような要因が重要であることが明らかとなった。

このような結果になった理由として、次のように考えることができよう。
「緻密でミスのないようにしたい時」の場合は、「仕事の成果」が見えにくいために評価をいかに行うかが重要になっており、また指示や規則等を遵守してチームのメンバーが作業を行うことが「緻密でミスのない」作業につながると現場リーダーが考えているからであると思われる。
また「特に大きな成果を得たい時」の場合は、ある程度チームのメンバーが自由に作業を行うことによって大きな成果が得られることになるので、役割・守備範囲を明確にしたり細かい管理をしたりすべきでない、と現場リーダーが考えているからだと思われる。

X.結論と今後の課題
本研究により、現場作業におけるチームマネジメントの要因とチームの目的との関連が、明らかにできた。
今後は、チームの目的に応じたチーム編成のための『チームマネジメント要因チェックシート』を作るなどにより、現場に研究成果を反映させていきたい。


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中村肇へメールを送る: nhajime@a2.mbn.or.jp